Tarte aux cerises et à la crème

タルト・オ・スリーズ・エ・ア・ラ・クレム(フロマージュブラン・チェリータルト)
フロマージュブランと泡立てた生クリームを混ぜたチーズクリームをカラ焼きしたタルト生地に詰めて、その上にチェリーブランデーで香味をつけたチェリーのバター炒めを盛ります。
チェリー800g、バター50g、グラニュー糖100g、チェリーブランデー少々、シナモン少々、レモン少々、フロマージュブラン250g、生クリーム50g、粉砂糖50g、パート・ブリゼ 250g
パート・ブリゼを厚さ3ミリに伸して、タルト型にしき込み、生地底を充分にピケします。生地に紙を被せて、焼成用タルトストンを詰め、高温のオーブンでカラ焼きにします。チェリーは水洗いして茎と核を除きます。ソテー用鍋を直火にかけてバターを溶かしたら、チェリーを加えて、ここにグラニュー糖を少しずつふりまき入れて、スパテラでかき混ぜながらよく炒めます。全体が軽いカラメル状になったら、チェリーブランデーを加えて、火から下ろして冷まします。フロマージュブランのクリームを作ります。フロマージュブランを裏漉しして、粉砂糖を加えてよく練り合わせます。クリーム状になったら、泡立てた生クリームを混ぜます。先のカラ焼きした生地にチーズクリームを詰めます。クリームの表面を整えたら、炒めたチェリーを並べます。炒めた煮汁を刷毛でチェリーにぬり広げて仕上げとします。
パート・ブリゼ / Pâte brisée
フレィキィ・ペースト / Flaky Paste(英)
薄力粉500g、バター250g、塩10g、水(冷水)200ml
この生地は主に果実を使うタルトやチーズタルト、キシュなどの料理用にも適します。薄力粉をふるいにとおして、塩を混ぜます。このふるった粉の上にバターをおき、スケッパーで細かく切り混ぜてから手を通すようにして粉とバターを混ぜます。バターが粉をかぶった粒子状となれば、冷水を加えて、手速く全体をあわせます。ここで練ってしまうと生地が堅くなりますので、スケッパーなどで軽くまとめます。手で軽く押えるようにして、まとめたものを半分に切り重ねるという作業を3~4回行ないます。この生地はビニール袋で包み(量の多い時は番重に入れる)冷蔵庫で休ませます。この配合に砂糖10gを加えると甘味のパート・ブリゼ / Pâte brisée sucrée となります。
編集後記
今月のおすすめは、既刊「収穫月のタルト」から、もうすぐチェリーの季節、パイを紹介します。まずは、少し長いのですが、本書の前書きを引用して、タルト、パイをご説明します。「豊かな大地にはぐくまれた果実や野菜、乳製品、畜産品、海産物などを季節ごとに集めて、タルトというかたちにまとめたのが本書です。タルトTARTEとは、上質の生地に果実やクリームなどを詰めて焼いたもので、味の面からは「タルト・シュクレ TARTE SUCREE」と「タルト・サレ TARTE SALEE」に分けることができます。 タルト・シュクレは"甘味のタルト"で、デザートやティータイムの菓子として供されます。タルト・サレは"塩味のタルト"で、軽い食事や前菜に供されます。これらの甘味と塩味のタルトは、形の上からは「生地+素材+クリーム」というような同じ構成になります。この類似した構成に注目して、甘味のタルトと塩味のタルトを同じ位置に並べてみました。つまり、タルトとは生地に各種素材を入れて、素材に適した味つけ「甘味と塩味」をしたものの総称と考えました。ただ、同じ位置に並べるとはいえ、タルト・シュクレとタルト・サレでは用途が異なります」。いかがでしょうか。 この本の取材時、今から40年ほど前、厨房のオーブン前、作業台にカメラをセッティング。焼き上がりを、熱をとってから切り分けて、それこそ出来上がりの状態を写真に収めていきました。シェフ以下何人かが見守る中、切り分けてみて、姿形が、いまいち納得できないと、作り直しです。何度作り直したことか。このような取材撮影は、もう古き良き時代の思い出。写真を見ると、その光景と、タルトの味がよみがえります。 さて、(英)CHERRY(チェリー)。チェリー(サクランボ)の季節は6~7月の初期。産地によって品種、呼名も様々ですが一般に次の二通りに分けられています。(1)スウィート(Sweet):甘味の強いもの。(2)サワー(sour):酸味の強いもの。日本で栽培されているのは「佐藤錦」「ナポレオン」といった生食用のスウィートチェリーです。6月中頃に米国から「ランパート」「ビング」といった暗赤色のスウイートチェリーが輸入されます。サワーチェリーは幾分小粒で色は多様、酸味が強く調理用です。もうすぐチェリーの季節。アメリカの、旅行先で買い求め、食べた思いもかさねてのチェリーパイをおすすめします。