Strawberry chiffon pie

ストロベリー・シフォンパイ
イチゴのシロップ煮とメレンゲ、泡立てた生クリームを組合せたものです。イチゴの飾りは誰にでも強い印象を与える圧倒的な美しさです。
イチゴ200g、グラニュー糖40g、ゼラチン(粉)7g 、冷水 30ml、温湯100ml、塩少々、レモン果汁1/2個、卵白1個 、砂糖50g、生クリーム150g 、パイ生地、イチゴ
パート・フィユテ(パイ生地)かパート・ブリゼをフラン型にしき込んで、底面を充分にピケしてから、紙を被せてタルトストンを詰めてカラ焼きにします。大きなボウルにイチゴとグラニュー糖を入れて、全体を良く混ぜてから、軽く砕いて、そのまま45分間~1時間ほど和えておきます。こうするとイチゴの果汁が浸出してきます。
ゼラチンは冷水に加えて5分間ほど浸しておきます。卵白は砂糖50gとともに泡立てて、しっかりとしたメレンゲ状とします。同じく、生クリームも泡立ててクレム・フエテとします。
手鍋に、温湯と先の砂糖と和えたイチゴ類、塩を入れて、全体を良く混ぜてから、直火にかけて沸騰に導きます。軽く沸騰したら、レモン果汁を加えます。
火から下ろして粗熱を取ります。ここにゼラチン液を加え混ぜます。そのまま液を冷まして、全体にトロミがついて固まりかけたらクレム・フエテとメレンゲを順に加え混ぜます。カラ焼きしたパイ生地に、上記のアパレイユを詰めて、上面をきれいに整えます。そのまま冷蔵庫で冷し固めます。後、別に用意したイチゴを上面にきれいに並べて、フランボワーズのナパージュをぬり広げます。パイ生地の縁部分にピスターチの細かくきざんだものをまぶしつけて仕上げとします。
編集後記
春が待ちどおしいこの頃、洋菓子店のショーケースにはイチゴ菓子が数多く並んで華やかで春の気配。やはり春はイチゴなのでしょうか。そういえばイチゴフェアという催しもありましたね。イチゴのショートケーキ。シュークリームやプリンとともに洋菓子の定番商品、まちがいがないというものでしょうか。 ストロベリー・シフォンパイ、英語版のパイ・ブックからレシピを参照して試作したもの。シフォンとは、フランス語辞書では、ぼろきれ、雑巾、紙くず、そして(女性の)服飾品とあり、英語辞書には、絹モスリン、(婦人服の)縁飾りとも。なんとなくイメージはわくのですが、ピンとこない言葉です。ただレシピから判断すると、これはいちごのピュレとメレンゲと生クリームを組み合わせたムースといえます。 フランスの洋菓子教育専門書(フランス菓子947製菓法/小社刊)によると、ムースは約8種に分類されていて、ここでのシフォンパイのアパレイユは、「果肉・果汁を基本とするムース」になるようです。要は、イチゴを砂糖で和えてピュレとして、そこにイタリアンメレンゲとクレムフェッテ(生クリームの泡立て)を混ぜるものです。クリームを保形するのはゼラチン、すぐに食するなら、ゼラチンは不要かもしれません。とてもシンプルで簡単です。ところで、ムース。ある時、急に広まってきた商品です。同時期に急速冷凍庫の普及もありました。どうやら商品構成、製造サイクルなどの面からもムースは主流商品になってきたようです。ムースの起源を探ってみると、これは専門書からムースと思われるレシピを遡って調べてみると、ある専門書に行き当たりました。たぶん、これが派生したのではないかと、個人的には考えています。その本の「mousselines」という項目に、ジェノワーズ(卵と砂糖を泡立てゼラチンを混ぜる)とクレム・フェッテを合わせるものとあり、さらにイタリアンメレンゲとフルーツピュレ、クレム・フェッテ、ゼラチンからなる「mousselines aux fruits」のレシピがありました(小社刊/アントルメ選集より)。 アメリカの料理・菓子専門書にはフランス料理はもとより、イギリス料理屋ドイツ料理、スペイン料理などなど、各国の珍しい、つまり昔ながらの料理が紹介されていることがあります。すでに母国では廃れてしまった料理や菓子が、本の中で生き続けている。もしかしたらレシピは文化遺産でもあるのかもしれません。レシピとともに、料理する心を大切にしたいものです。