le poirat

ル・ポワラ(クルミの生クリームパイ)
フランス中央部、マルシェ・リムザン地方の銘菓です。この菓子の特徴はなんといっても生地(パート)です。クルミ粉とシナモンを混ぜた香味が優れたもので、焼き上がりの状態、洋ナシを並べた形に波うつように仕上がるのには驚きます。
上面のパートは蒸気抜けと、後にクリームを注ぎ込むために輪状に抜きます。オーブンからの焼きたては格別ですが冷ましてからも良さが伝わります。
薄力粉250g、クルミ(粉)60g、シナモン少々、全卵1個、砂糖125g、バター150g、洋ナシ750g、適量、クレム・ドゥブル150g
クルミ入りパートを作ります。薄力粉とクルミ粉、シナモンはフルイにとおして混ぜます。これをフォンテーヌ状にして中央のくぼみにバターと砂糖、全卵を入れて手先で充分にすり混ぜます。粉類を内側から引き込むようにして混ぜます。ひとまとめにして、ラップで包んで、冷蔵庫で30分間ほど休ませます。
このあと、めん棒で薄く伸して、直径25センチのパイ型にしき込みます。配合外のビスキュイを厚さ5ミリに切って重ねます。同じパートを型に合わせて、もう一枚切り、蓋用とします。
洋ナシは皮を剥き、四つ切りにして芯を除きます。これは形を崩さずに薄切りにして、しき込んだパート(ビスキュイの上に)に縁に沿うようにして並べます。中央にも洋ナシの薄切りを並べ詰めます。
蓋用のパートは円形の抜き型で中央を抜きます。底生地の緑に水をぬり、蓋用の生地を重ねて縁部分を付け合わせます。上面に水をぬり、砂糖をふりかけて、温度190℃のオーブンで、30~40分間を目安に焼きます。オーブンから出したら粗熱を取り、型から外します。
温製で供する時はクレム・ドゥブルを軽く立てたものを中央から注ぎ、クリームをソースのようにして味わいます。また、冷製で供する時はクレム・シャンティイを中央に絞ります。なお、並べた洋ナシにグラニュー糖をふりかけて甘みを加えるのも良いでしょう。
編集後記
FRENCH REGIONAL COOKING, Anne Willan著。フランス各地の料理、その地の特産品と紹介するコンパクトであり、充実した内容の、読み応えのある料理書。フランス中央部、マルシェ・リムザン地方の銘菓、何とも言えない生地の味わい、焼上後にクリームを注ぎ込む、この感覚が面白い。試みの品を、フランス帰りの料理人が、なつかしい!と。